戻る /トップページへ /カナダリポートへ

・1999 オランダ・スイスリポート

風車の写真





1999年5月初旬に私がエアピストル射撃でオランダに遠征してきた時のリポートです。

オランダの障害者の射撃競技会であるダッチ・オープン大会に京都府の廣田さん、榊原さんと私の妻の4人で参加してきました。

試合の会場はアムステルダムから100キロぐらい離れたアペルドゥルンという田舎町で、ほとんど日本人に会わないようなところでした。

写真の風車はDVS射撃場近くの畑の中にありました。観光名所ではないのですが、付近の景色に溶け込んでいました。






オランダで宿泊したホテルの写真 ← オランダで宿泊したホテルの前で


 私は、まだ下手くそながら無謀にもエアピストルでエントリーしてきました。
 エッ!!試合の結果ですか?まぁビリでした。なにしろ、まだ始めたばかりですからね。
 今でも上達しませんが、座位バランスが悪い脊損のため、ピストル以前に自分の身体が安定しないのが原因だと思われます。最近はピストルに限界を感じてきましたので、これからはライフル種目中心に頑張っていこうと思っています。(笑)

それはさておき、あえてエントリーしたのは、日本において車いすのエアピストル選手は私1人しかいないため、フォームをどうすれば良いのかずっと悩んでいましたので、勉強の意味で参加しましたが、海外の上手な人のフォームや車いすの工夫など、とても参考になりました。


射撃場で見かけた車いすの写真 ← 車いすの車高は出来るだけ高くしている工夫が見える。


やはり、行って良かったです。車いすの低い位置からピストルを撃つのはかなり肩に負担がかかるため、私は後ろへのけぞるようなフォームをしていましたが、向こうの選手は車いすのシートを高くすると共に背もたれに身体を預けるようにして撃っていました。
 帰国後、車いすはアメリカ製のクイッキーを新調してしまいました。車いすプローン用のテーブルまでオプションでそろえました。
日常生活モードから射撃モードにするとシートが5センチ以上高くできるものです。
しかも室内用もクイッキーにしたので、費用も馬鹿になりませんね。
 鹿児島の岡留さんも韓国のヤクルトカップ帰国後にクイッキーを新調したとか。
 私は、ピストルが止まらないというか、ばらつきが多すぎてグルーピングが安定しないので、ずっと悩んでいました。
遠征の効果を反映するためにフォームを色々研究しましたが、結論として座位バランスがいかに重要であるかが分かり、腹筋と背筋が期待できない選手にとってはピストルは難しいことを実感しています。
妻からは試合のたびに「頑張ってね」と檄を飛ばされ、帰ると「今日はどうだったの?」と聞かれるのですが、なかなか堂々と点数を言えない状況が続いています。
ピストルを目指す方はエアハンドライフルから始めると良いと思います。私は車いすでの推薦に日ラがずっと消極的だったため、ピストルへのステップアップ補償がないハンドライフルはする気がしませんでしたが、現在は初段を取れれば、一般の方と同様に補償されていますし、ピストルへの違和感が少ないと思います。



オランダ


スキポール空港まで迎えに来てくれたリフトバス ← 迎えに来てくれたリフトバス

 スキポール空港を出たら、あっ!!シューターだと言いながら側へ来て握手を求める人がいましたので、何かと思ったら、到着便を知らせてあったため、試合の主催者がリフトバスで迎えに来てくれたのを知り感激しました。
 オランダの自家用車はバカンスでキャンピングカーを牽引するらしく後ろのバンパーに連結器がついている車が多かったです。
 また、オランダはヨーロッパの中では銃の規制が厳しい方ですが、それでも日本よりは競技用の銃は持ちやすいようです。と言うよりは、日本が世界でも類を見ないぐらい厳しいという方が当たっているでしょう。

DVS射撃場のスロープ
DVS射撃場入り口スロープ →

試合の会場は、装薬銃は5キロぐらい離れたDVS射撃場でしたが、エアピストルとエアライフルは体育館の仮設会場でした。日本では考えられないことです。




リフトの写真
← DVS射撃場のリフト

DVS射撃場は地下ですが、完全バリアフリーです。リフトと車いす用トイレが完備されているだけでなく、25m、50m、10m射場がありますが、その全てが車いすで使用可能です。

ここで毎日練習しました。

写真のリフトは階段にそって上下するもので車いすのまま乗ることができます。いいですよねぇ。

他の国のチームに会うと思ったのですが、ここで毎日練習していたのは我々だけでした。








車いす用トイレ
← DVS射撃場の
車いす用トイレ

この手すりのレバー上下はちょっとこつがいるみたいで悩んじゃいました。どうしてもうまくいかず、射撃場管理者のおじさんに単語の羅列で聞いたら何とか分かりました。
失礼な奴だと思ったかもしれませんが、親切に教えてくれました。







10m射撃場
← DVS射撃場の10m射撃場

床には22口径リムファイアの空薬莢がごろごろしていました。

日本では10m競技はエアの種目だけですが、ヨーロッパでは
10mでも装薬ピストルを撃っているのですね。

また、標的交換機は手作りの電動でした。







25m射撃場
← DVS射撃場の25m射撃場

スポーツピストルの会場になりました。
標的は天井のレールの上を電動で走っていきますので、車いすでも人に頼まないで標的交換ができます。

外国映画の射撃場のシーンで出てきますでしょ。HITはロボコップを思い出しました。







50m射撃場
← DVS射撃場の50m射撃場

フリーピストルとスモールボアライフルの会場になりました。

標的交換機は25m射撃場と同じです。
標的が動いているときはゴーーーーッとすごい音がします。

背中は榊原さん








スイス


スイスで宿泊したホテル ← スイスで宿泊したホテル

 スイスにも一泊だけでしたが、廣田さんがエアライフルにエントリーしたので、行ってきました。

結構きれいなホテルでした。

宿泊料も大会のスポンサーになっているそうで、格安にしてくれました。

チーズとハムとワインがうまかったですよ。






航空機のコクピット
← オランダからスイスに向かった航空機のコクピット

ヨーロッパの中ならば安売り航空券でもトランジットで無料で移動できます。

 エアピストルはスイスにエントリーするとオランダに出場できなくなるので、私はエントリーしませんでしたが、ちゃっかり練習はさせてもらいました。

なんと電子標的だったんですよ。そのかわり白を撃つとずっと残ってしまうので、恥ずかしかったです。




プローン姿勢
← 理想的な車いすによるプローンの姿勢

また、ドイツ選手のライフルにおいて理論的な撃ち方には勉強させられるものがありました。

車いすにテーブルを付けるプローンでは、ほとんど姿勢は立射と変わらないぐらいでした。うつむき加減に撃つよりは理論的にも安定するようです。

私もSBのプローン用テーブルはまねをして高い位置にセッティングしました。





スイス兵
← スイスではむき出しのカービン銃を持った兵士が駅構内にいました。
背中を向けているのは廣田君

スイスでは小学校の体育の授業でエアピストルがあるぐらいですし、スキポール空港の警察官は自動小銃を携帯していましたし、むき出しのカービン銃を持った兵隊が電車に乗っているのを見ても日本とはだいぶ違いますね。

ちょっと分かりづらいですが、柱にカービン銃が立てかけてあるでしょ。




サポート体制 ← 日本と違いコッキングから弾込めまでサポートが可能です。
  彼は燃えるような闘志をみなぎらせる目をしていました。

どちらの試合とも、10カ国ぐらいがエントリーしていましたが、かなり専門的にコーチの指導を受けているようで羨ましかったです。

車いすの背もたれも有効に利用してルールの中で許されるものは全て利用しているようで、歩ける人でも車いすを利用しているのが印象的でした。
日本より、車いすへの抵抗感が少ないようですね。



フリーピストル射撃の様子
← フリーピストル 右の車いすの人はドイツのH.palengaさん

車いすでもフリーピストルやスポーツピストルを撃っている彼らを見て羨ましいと思いました。

また、オリンピックではメダルを取った競技者に懸賞金や年金が出る国があることを聞いたことがあると思いますが、ハンディキャップにも同じように出る国があるようで、生活がかかっているというと言いすぎでしょうが、彼らの目は真剣でした。




H.palengaさんと記念撮影 ← オランダでエアピストル6位になったドイツのH.palengaさんと

私が出た試合の性格は国内オープン戦ですが、一国だけでなく全ての国からエントリーが可能でなければなりません。ここで基準点をクリアできればプレパラリンピックにエントリーできる資格が貰えるものです。

日本でも障害者のシューターの数がもっと増えれば企画することが可能でしょうが、しばらくは遠征しなければならないでしょう。もっと数を増やす努力が必要だと思います。




キャリアカーに運ばれるHITの写真 ← 駅の雑踏の中、車いすごとリフト兼キャリアカーに運ばれる

埼玉県でも障害者とジュニア育成のため、ビームライフルの体験会を開催していますが、本格的にやろうという人はまだ現れていません。

 一緒に行った廣田さんはスイスのエアライフル立射種目でプレパラへの切符をゲットしました。そして本番のシドニーパラリンピックにエントリーします。おめでとう!!
シドニーパラリンピックリポートを期待しましょう。
帰りは電車を利用してスキポール空港まで行きましたが、必ずリフトを駅員が持ってきてくれました。






HITが参加した海外の試合へ戻る /トップページへ /カナダリポートへ